これまでに開催した、当クリニック医師による医療講演会のバックナンバーをご紹介しております。 ご興味のある方は是非ご参加ください。
もし、われわれ人間が口から食事が入らないとしたら、体が徐々に弱ってきて死んでしまいます。われわれの体を構成している細胞は、ブドウ糖という栄養素を糧に生きています。ブドウ糖が入らなければ最終的に死んでしまいます。 最近、細胞のなかに血中ブドウ糖が取り込まれるメカニズムが分かってきました。ブドウ糖が細胞の中に取り込まれるためにはインスリンというホルモンが必要です。インスリンが細胞の中にあるGLUT4を刺激して、GLUT4がブドウ糖を細胞の中に取り込むのです。 1型糖尿病はインスリンが分泌されないため血中ブドウ糖が高くなります。 2型糖尿病というのは内臓の脂肪が増え、インスリン抵抗性を有する悪玉サイトカインが増え、これがインスリンの効きを悪くしています。 そのため、インスリンが出ていてもブドウ糖を細胞の中に入れる作用が不足し血中ブドウ糖が高くなります。 すなわち、1型糖尿病にしろ2型糖尿病にしろ細胞のなかにブドウ糖が入れないので、細胞は飢餓状態となるのです。 また、ブドウ糖が高いと細胞を傷害します(糖毒性)。そのために人間の血中ブドウ糖は60~160mg/dlの間を保っています。 もっともやられやすい細胞は血管です。そのため糖尿病が、心筋梗塞や脳梗塞の原因になるのです。 次回は、心筋梗塞や脳梗塞の話をしましょう。